迷宮組曲

さて、と。今更だけど迷宮会報告をするヨ。

以前のあらすじ

旧スターダスト伯爵領へ揺り籠を取ってきたアンナタール高校の宮廷一同。しかしその結果スターダスト伯爵領を滅亡させた原因、ドミトル妄想騎士団に目をつけられてしまった。たまたま訪れたダイナマイト大帝より「このままでは確実に君達の国は滅亡する。どうかね、我が属国になるのは?」と言われるも、全員の相談により辞退。自力でどうにかする事を決意する。
情報を集め、近くに住む千年王朝の魔術師の力を借り、王国(領地含む)を大規模な迷宮嵐で別の場所へ吹き飛ばし、外に出てみると、そこはホラアナ城の間近だったのだ……

今回の出来事
……と、いうわけでじゃ。妾達は「修学旅行」というものをしておる。我が高校の生徒達がホラアナ城を見学したいと言うのでの。今頃、皆思い思いの場所を見学しておろう。ふふ。皆が喜ぶ事を出来るのはこの学園を治める生徒会長の妾としても、大変嬉しい。

まぁ、妾達宮廷生徒会の面々はそんな修学旅行を楽しめる訳がないのじゃが。ホラアナ城に来たからには城主であるアオヒゲ公への挨拶をせねばならぬ。まぁ後から何処かによる事は出来るじゃろう。上に立つものの勤めを忘れてはならぬ、そう言う事じゃな。
で、その謁見じゃが。アオヒゲ公は、まぁその。”少々”側室がおおい。そう3桁ほどいたりする。そのうちの上11人が公の両側に並ぶ姿は圧巻じゃ。その中挨拶をした。妾達の学園がまだ小さい事は重々承知。機嫌を損ねる様な事をしたら、あっけなく潰されよう。気をつけねば…と思ったら。戦闘では心強いがそれ以外は全てが問題児の従者、三面大往生が相も変わらずトラブルの種を蒔く。お願いじゃ、妾の胃に優しい事をしてたもれ。
妾が顔を青くして謝罪をするも、既に解き遅し。大往生はホラアナ城地下の留置所へ。妾達の剣の一つである大往生。いなくなれば生徒達に危険が及ぶかもしれぬ。公に謝罪し、温情により大昇降機で篭城する不届き者を退治する事によって解放してもらえると言う事となった。面倒事を押し付けられたと?そんな事、判っておるわっ!
準備の為の時間はしばらくやろう、との事なので宮廷全員(大往生除く)の意見一致によりちょっとだけ観光した。妾は大浴場に入ったが大変気持ちよかった、妾の学園にも欲しいのう……
まぁ、それなりに強くなった妾達。易々とはやられぬ。首無し騎士共を退治し無事に大往生を引き取った。お願いじゃ、おぬしがかぶきものと言う事は判ったからそろそろ落ち着かぬか?
で、謁見も終わろうとしている所で学園の客人、現在は星術学や科学…本当は錬金学じゃが、逸材のストーンが慌てた感じで妾達の前に走って来た。何やらここでは話し辛い様子。なおかつストーンは妾達の国で保護している星の子の研究をしておる。多分その件じゃろう。すぐさま城へ帰る事にした。
ちなみに。アオヒゲ公の目つきが妾と神官のバターオイル=薫の時だけ妙に粘着質じみた感じがしたのは気のせいかのう。背中に鳥肌が起ちおったわ。

大往生を引き取り帰路の中、大往生が「そうだ。何か気持ち悪い奴らと出会ったな」と留置所の中で双子の…まぁ、倒錯的な趣味をした双子に変な目つきで見つめられたそうな。趣味が違うから別の奴を紹介すると騎士の平山大吾を紹介しておいたと、呵々大笑と告げて来た。無論大吾が怒り出し二人が殴り合いを始めたのは言うまでもない。
さて、何を慌ててやって来たのじゃ?とストーンズの話を聞くと、なんと星の子が割れており、中身が無くなっておると言うではないか。な、な、なんじゃとー!?
そんなこんなで学園の間近の慌てて帰る妾達の前で異変が起きた。なんと学園が空中を舞い、バラバラになってしまったのじゃ!わ、妾達の学園が……余りのショックで妾はそこで気を失ってしもうた。
目を覚ましたところで宮廷の面々に状況を聞く。どうやら大往生の話に出ていた双子とやらが、何やらしでかしたらしい。忍者の哀里沙が思い詰めた、いや違うか。何やら悔しげに伝えてくれた。その時亜梨沙の目の前にカードが現れ、天高く、そして地深くに飛び去っていった。双子を逃した事が余程悔しかったらしい。「開墾」という形で魔法カードが発動したようじゃ、おお。妾も初めて見たが…亜梨沙の悔恨はこれからも百万迷宮の中をぐるぐると回り、語り継がれていくのじゃろう…
さて、そんなこともあり準備を始める。バラバラになったように見えたがどうやら学園内の構成まで変わった訳ではないらしく、ほぼ同じ構成の部屋じゃった。奪還はそれほど難しくなくすみそうじゃ。無論なにやらこの変動により罠と化けた施設があるやも知れぬが。
さて、今回の円卓会議により宮廷の職業が色々と変わった。哀里沙が貴族よりアイドルになった。無表情系アイドル?それはそれでアリやもしれぬのう。ちょっと浮かれていた所を見るとどうやらアイドルになるのが夢だったのかのう?
大往生は魔導師から冒険者へ。これまで覚えたスキルも合わせ、この学園一の攻撃力を誇るようになった。
薫は怠け者から軍師へ。事前の準備を色々とやるつもりらしい。重要なバックアップ要員じゃな。
大吾は博士から刃匠へ。自らの武器を鍛えておった。自ら鍛え上げ、より強い武器を持ち強い騎士となるのであろう。
妾は、武人から委員長へ。自分が継いで来た武人の道が妾にあっておらぬ事は重々承知しておった。そしてこの学園の長たる貫禄がイマイチ無い事も。だから委員長。これからは規律を守らせようぞ。
あと、情報を集めてみた所、怪しい双子は千年王朝を裏切りハグルマへ寝返った国滅ぼしのジェミニ兄弟、カストル・ハグルマとポスクル・ハグルマとの事。

そして、王国に入る。中は一見見慣れた部屋じゃが、何やら雰囲気が違う。……妾達にもぴりぴりとした攻撃的な意思を感じた。双子の狙いはまず間違いなくこの国を滅ぼす事、そして学園内にいる星の子の中身を手に入れる事!妾達にそれほど猶予は無い!!学園内をうろつくジェミニ兄弟を探し出さねばならぬ。素早く食堂に移る。ここは大往生の受け持つ場所。そして同時に学園全ての場所へアクセスする際に通る場所でもある。まずはここまで動き調査をする。その間に敵がおったが、強くなった妾達の前では障害にもならぬ。蹴散らしてやったわ。
調査をしておった所で話し声が聞こえる……あれジェミニ兄弟の声か!?どうやら騎士のアダムスキーが所属する新聞部の方からじゃ!妾は走り出そうとした。それを止める他の者達。あからさま過ぎる。何か隠しているに違いない。短慮に動くのはよくない、と。…妾は血が上っていたようじゃ皆の話に納得し場所を推測する。……大吾の浸かっておる剣道場、あそこが怪しい!!
はたして、それは正解じゃった。”もぐら棒”を使い、壁に穴をあけて通り抜けようとする双子達。天誅というやつを与えてやるわ!!

言葉通り天誅を与え打ち倒し国の異変は収まった。宮廷一同ほっとした、その時。何やら怪しげな影が。
……なんじゃ?この猫の様な変な生き物は?妙に軽い性格じゃし。
猫型生物「ん、俺?王子だよー。『星の王子』って奴ー」
星の子の中身は、この星の王子だったらしい。そして王子曰く「俺のほうき星どこー?」ほうき星に乗り、この百万迷宮を旅をするらしい。やれやれ、次はほうき星探しかのう。

……あとは、ジェミニ兄弟の裏で暗躍していたアオヒゲ公の妻、狐人ピアニカが何やらしでかしてこなければよいが……そうそう上手く事は運ばぬのであろう。妾の苦労はまだまだ続きそうじゃ。

この騒動に付いての学園報告書は以上じゃ。